アスベストは長い間悩まされ続けている日本が抱える課題です。アスベストは安価で高い性能を有していたため、断熱、耐火、防音、絶縁を目的として長い間使われてきました。ですが、吸い込むことで肺に重篤な疾患を生むリスクがわかり1960年に「じん肺法」が施行され、これまで脱アスベストに向けた動きを続けてきました。昨年2022年には解体の分野で大きな法改正が施行され、一般家庭を含めた全ての建物で検査や報告が義務化されました。

本記事では、そんなアスベストについて自分でもできるチェック方法について解説します。

建築年でみるアスベストが使用されているリスク

アスベストに関しての法律は度々改正がおこなわれてきました。その中で、含有量の規制も段階的に強化されています。現在住んでいる住宅の建築年が現行の基準より規制前に当たればアスベストが使用されているリスクがあり、古ければ古いほど含有量も多くなる可能性もあります。含有量についての改正を年号で紹介しますので、自宅の建築年と照らし合わせてみてください。

年式法規制住宅に対するリスク
〜1974年規制なし多くの建材で使用されている可能性があります
1975年〜1994年吹き付けの含有量を
5%以下に規制
規制はされたが現行の基準より遥かに高い含有のリスクがあります。
1995年〜2003年吹き付けの含有量を
1%以下に規制
規制はされたが現行の基準より遥かに高い含有のリスクがあります。
2004年〜2005年吹き付け以外でも
含有量を1%以下に規制
規制はされたが現行の基準より遥かに高い含有のリスクがあります。
2006年〜2011年全ての建材で
0.1%以下に規制
ただし1部の製品で猶予措置
現行と同基準ですがガスケットなどの1部製品ではまだ含有のリスクがある
2012年〜全ての健在で0.1%現行と同基準のため、違法建築でない限りリスクなし

1975年には無制限から5%と大きな変化がありましたが、現行の0.1%の基準と比較するとその差は50倍ととても安心できる数字でないことがわかります。その後も1%にはなったものの解体は廃棄する場合はしっかり法律に則った対応が必要になります。

2005年以前に建築された建物にお住まいの場合はアスベストの飛散リスクを伴う施工をおこなう場合には検査や調査といった正式な工程を踏む必要があります。

2006年以降に建築されている一般住宅であればリスクはほぼないと考えられます。

飛散リスクを伴う工事とは

アスベストが飛散するリスクがない施工であれば、これまで通り進めて問題ありませんが、飛散リスクを伴う場合は事前調査や検査が必要となります。この飛散リスクとはアスベストが空気中を舞ってしまうことをさしており、飛散し吸入することで肺がんなどのリスクを生みます。アスベストは施工段階や製品に加工された状態では、しっかり固められており、そのままでは飛散することはありません。このアスベスト含有製品を削ったり、穴を開けたりすることで飛散してしまう可能性があります。

つまり、解体をはじめ、ビス打ちや塗装剥離であっても飛散リスクを伴うということになります。塗料の上塗りや現状の建物を傷つけない機器の設置などは飛散リスクがないと判断できます。

アスベスト含有の可能性のある場所

外壁

・窯業系サイディング
・建材複合金属系サイディング
・モルタル
・仕上塗材(吹き付けタイル、リシン吹き付け、スタッコなど)

屋根

・住宅屋根用化粧スレート瓦
・ルーフィング
・けい酸カルシウム板第1種(軒天など)

内装

・ケイ酸カルシウム板第1種
・石膏ボード
・壁紙
・ビニル床タイル
・ビニル床シート

アスベストのレベル

アスベストが関連する作業には作業レベルが設定されています。レベル1から3までの3段階に分かれており、レベル1が最も危険な作業となります。

レベル3

板状など硬く成形された建材が該当しま固く割れにくいため飛散のリスクが低い場合にレベル3となります日常で使用では飛散リスクは高くありませんが、解体時には適切な方法で解体する必要があります。一般的な木造住宅でも使用されている可能性があります。

建材の種類

スレートやビニル床タイルなど
アスベスト含有吹き付け剤やアスベスト含有保温剤や耐火被覆材・断熱材など、レベル1、レベル2に該当しない建材です。

レベル2

配管などに巻き付けてある保温剤や断熱材などが該当し、レベル1よりは飛散リスクは少ないですが、崩れやすく飛散リスクは十分に高いです。配管ごと取り外す(本体を傷つけない)などの対応でレベル3として処理できる可能性もあります。

建材の種類

アスベスト含有保温剤や耐火被覆材・断熱材など
シール状のもので巻き付けて利用されることが多い

レベル1

最も危険性の高いレベル1はわた状などの吹付け剤など、そのままでの飛散してしまうような物が該当します。この場合は近くにいるだけでも危険なためかなり大掛かりな解体が必要となります。

建材の種類

アスベスト含有吹付け剤

レベルごとの施工方法の違い

レベルにより飛散リスクの種類が違いますので、施工にあたって必要な処置は大きく変わってきます。レベル1では近隣までのリスクがあり、レベル2では施工時の施工場所のリスク対策、レベル3は適切に処理すれば大掛かりな措置は必要ありません。

レベル1薬剤を塗って飛散を防止する封じ込めや必要範囲の囲い込みが必要となります。
エアシャワーなどの前室の設置など施行的にも大掛かりな物となります。
レベル2レベル1と同様に封じ込めや囲い込みが必要となります。
レベル3前室の設置などは必要ありませんが、必要な箇所の飛散させないための適切な処置が必要になります。

まとめ

アスベストの法規制の歴史やレベルについてお話ししましたが、一般住宅にお住まいの場合は、2011年以前の住宅の場合に、穴を開けるようなリフォームでは事前調査や検査が必要となります。事前調査は義務化されており報告や保存などの義務については状況により変わってきます。こちらの処理については弊社でご案内可能となっております。もうすぐリフォームしたい、後のことを考え事前調査しておきたいなどご相談いただけましたら対応させていただきます。お気軽にご相談ください。

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