目次
  1. 停電対策の蓄電池で、できること・できないこと
    1. 夜間でも、残っている電気を使える
    2. 蓄電池があっても、電気・水・通信のすべては復旧しない
  2. 最初に決めるのは「停電中に使いたい家電」
  3. 蓄電池は何時間もつ?「使える電力量」で計算する
    1. カタログ容量を、そのまま使用時間に換算しない
    2. 使用時間の目安を出す計算例
  4. 「長く使える」と「同時に使える」は別の条件
    1. kWhは量、kWはその瞬間の電力
    2. 全負荷型・特定負荷型は、給電する範囲の違い
  5. 太陽光と組み合わせると、長引く停電への備えが広がる
    1. 太陽光だけの場合と、蓄電池を組み合わせた場合
    2. 雨が続く日や、残量がなくなった場合も想定する
  6. 設置済みの方も確認したい、停電前の5つの備え
    1. 1.停電用に残す電気の設定を確認する
    2. 2.自動切り替えと、復電後の動作を確認する
    3. 3.使えるコンセントと、操作資料を家族で共有する
    4. 4.設置場所の浸水リスクを確認する
    5. 5.水・食料・携帯トイレも一緒に備える
  7. 導入費用は「停電中に何を守れるか」と合わせて比較する
  8. よくある質問
    1. 10kWhの蓄電池なら、停電中に1日使えますか?
    2. 蓄電池があれば、エアコンは使えますか?
    3. 太陽光がなくても、停電対策になりますか?
    4. 蓄電池があれば、避難所へ行かなくてもよいですか?
  9. まとめ:使いたい家電と時間から、停電対策を組み立てる
    1. 参考資料

台風や地震による停電で、冷蔵庫や照明が止まったら。スマートフォンを充電できず、家族との連絡や情報収集が難しくなったら。家庭用蓄電池は、こうしたときに、ためておいた電気を使うための備えになります。

ただし、「蓄電池があれば家中の電気を何日でも使える」というわけではありません。停電時に役立つ設備を選ぶには、使いたい家電・使い続けたい時間・停電開始時の残量をセットで考えることが大切です。

この記事では、家庭用蓄電池でできること、使用時間の計算方法、設置前に確認したい条件を解説します。購入を検討している方だけでなく、すでに設置済みの方の備えの見直しにもお役立てください。

情報確認日:2026年11月4日。数値例は仕組みを説明するための仮定です。実際の性能・操作・設置条件は、採用する機種の取扱説明書と施工店の説明を確認してください。

停電対策の蓄電池で、できること・できないこと

夜間でも、残っている電気を使える

家庭用蓄電池は、停電時の給電に対応する機種・構成であれば、蓄えた電気を住宅の家電に供給できます。太陽光が発電しない夜間でも、残量があれば電源を確保できることが利点です。

太陽光と連携するシステムでは、停電中に発電した電気を使ったり、余剰分を蓄電池へ充電したりできる構成もあります。ただし、停電中の充電可否や再起動条件は、パワーコンディショナと蓄電池の組み合わせによって異なります。

蓄電池があっても、電気・水・通信のすべては復旧しない

蓄電池が供給できるのは、設計上の給電対象となる回路や機器です。残量や出力には上限があり、断水や地域の通信障害まで解消できるわけではありません。

自宅で過ごせるかどうかは、建物の損傷や浸水・火災の危険、避難情報などで判断します。蓄電池は安全な住まいでの生活を支える設備であり、避難の必要性をなくす設備ではありません。 在宅避難は自宅の安全が確保できることが前提です。[1]

最初に決めるのは「停電中に使いたい家電」

停電中に使いたい家電を家族で相談するイラスト

冷蔵庫、照明、スマートフォンなど、生活への影響が大きいものから整理すると、必要な容量や給電範囲を考えやすくなります。

家電・設備備えとして考えたいこと設置前の確認点
冷蔵庫食品を冷やすための電源を確保する対象コンセント、起動時の電力、実際の消費電力量
LED照明夜間に過ごす部屋や移動経路を照らす停電時に点灯できる部屋・回路
スマートフォン充電して連絡や情報収集に備える充電場所、モバイルバッテリーとの併用
ルーター・ONU自宅の通信機器の電源を確保する両方の給電と、通信回線側が利用可能か
エアコン暑さ・寒さへの備えを考える100V/200V、起動時の電力、同時使用条件
IH・電子レンジなど短時間の調理に使う出力上限、他の家電との同時使用

この表は、すべての蓄電池で使用できるという意味ではありません。家電の型番と設置場所を施工店に伝え、実際の組み合わせで確認します。

夏場の冷房など、ご家族の体調や室温によって優先順位が上がる設備もあります。冷蔵庫や照明だけに固定せず、必要な家電を家族で話し合っておきましょう。

医療機器など、電源の途切れが重大な影響を及ぼす機器は別に検討が必要です。家庭用蓄電池を無停電電源とみなさず、機器メーカーや医療機関に専用の停電対策を確認してください。

蓄電池は何時間もつ?「使える電力量」で計算する

カタログ容量を、そのまま使用時間に換算しない

「蓄電池容量10kWh」と表示されていても、停電時に家庭へ10kWhすべてを供給できるとは限りません。新品・満充電時の比較には、性能表示ラベルの初期停電時放電容量が参考になります。通常時の初期実効容量とは区別して確認します。[2]

実際に使える電力量は、停電が始まった時点の残量、劣化、温度、保護動作などでも変わります。ラベルの数値が、その停電で使える量をそのまま保証するものではありません。

使用時間の目安を出す計算例

概算の考え方は、次のとおりです。

使用時間の目安(時間)=家電へ供給できる電力量(kWh)÷家電全体の平均消費電力(kW)

以下は、停電開始後に家電へ供給できる電力量を6kWhまたは3kWhと仮定した例です。放電時の損失やシステム自身の消費分などを差し引いた後の量を使い、途中の太陽光発電・追加充電は見込んでいません。特定製品や家電の実測値ではありません。

家電全体の平均消費電力(仮定)6kWhを供給できる場合3kWhを供給できる場合
200W=0.2kW約30時間約15時間
500W=0.5kW約12時間約6時間
1,000W=1.0kW約6時間約3時間

例えば6kWh÷0.5kW=12時間です。同じ設備でも、使う家電を増やして平均消費電力が上がれば、使える時間は短くなります。

ここでいう「平均消費電力」は、一定期間に使った電力量を時間で割ったものです。冷蔵庫やエアコンは運転中ずっと同じ電力を使うわけではありません。年間消費電力量や定格消費電力だけで、災害時の使用時間を正確に断定することもできません。

逆に、家電全体が平均300Wで12時間動く想定なら、必要な供給電力量は0.3kW×12時間=3.6kWhです。この3.6kWhは蓄電池の公称容量ではなく、家電側で必要な量です。そこから残量や損失、劣化などを踏まえ、機種と容量を選びます。

「長く使える」と「同時に使える」は別の条件

kWhは量、kWはその瞬間の電力

蓄電池を選ぶときは、使える電力量だけでなく、停電時の出力も確認します。容量が大きくても、同時に使う家電の電力が出力上限を超えると、給電できない場合があります。

例えば、仮に1,200Wの家電と1,000Wの家電を同時に動かすなら、それだけで2,200Wです。ほかに動いている冷蔵庫や照明の分も加わり、機器によっては起動時にさらに大きな電力を必要とします。これは足し算の例であり、特定の蓄電池で使用できるという判定ではありません。

カタログでは、通常時の「連系出力」と停電時の「自立出力」を取り違えないようにしましょう。kVA表記もkWと同じ数字として扱わず、家電の特性や回路ごとの上限を含めて確認します。

全負荷型・特定負荷型は、給電する範囲の違い

比較項目全負荷型特定負荷型
給電範囲の考え方住宅全体の回路への給電に対応する構成あらかじめ選んだ回路へ給電する構成
検討しやすい希望複数の部屋や家電を給電対象にしたい冷蔵庫・照明など必要な場所を絞りたい
確認すること200V対応、同時使用、システムと各回路の上限選んだ回路とコンセント、対象外となる設備

全負荷型でも、すべての家電を普段どおり同時に使えるとは限りません。また、200V対応かどうかは製品仕様の確認が必要です。特定負荷型も、容量・配線工事などで費用が変わるため、必ず安いと決めつけず、必要な機能をそろえて比較します。

製品例として、ニチコンのESS-T5・T6シリーズは全負荷200Vに対応し、容量やV2H連携を含めた構成を検討できます。停電中に使いたい家電と、将来のEV利用を一緒に整理したい方には候補になります。ただし、パワコンの出力値だけで判断せず、蓄電池ユニットや車両も含めた実際の構成を確認します。[3]

太陽光と組み合わせると、長引く停電への備えが広がる

太陽光だけの場合と、蓄電池を組み合わせた場合

設備停電時の電気の確保注意点
太陽光のみ発電できる時間帯に、自立運転機能で利用夜間は発電しない。天候や専用コンセントの上限に左右される
蓄電池のみ停電前にためた電気を利用残量を使い切ると、再充電できるまで給電できない
太陽光+蓄電池対応構成なら、昼の発電と蓄えた電気を使い分ける停電中の充電・再起動に対応するか、事前確認が必要

太陽光単独の自立運転用コンセントには、最大1,500W程度のものが一般的ですが、上限や使える場所、操作方法は機種ごとに確認します。日差しが弱ければ、上限まで供給できるとは限りません。[4][5]

蓄電池と組み合わせれば、発電できる昼間に使い、余った分を夜へ回す運用を検討できます。日中に調理や充電をまとめるなど、発電状況に合わせた使い方も役立ちます。

雨が続く日や、残量がなくなった場合も想定する

太陽光があるからといって、毎日満充電に戻るとは限りません。悪天候、影、設備の損傷、日中の使用量によって、蓄電池へ回せる電気は変わります。「晴れれば使い続けられる」と決めつけず、発電が少ない日の使い方も考えましょう。

残量がなくなって停止した後、太陽光が発電し始めれば自動で復帰するかどうかも機種・構成によります。所定量の充電や操作が必要な場合があるため、取扱説明書で再起動条件を確認しておきます。[6]

EVの電気を家で使うV2Hも選択肢です。ただし、対応する車両と機器が必要で、車が外出中は給電できません。家の電源用に使える量と、移動のために残したい量を分けて計画しましょう。

関連する選び方は、卒FIT後の蓄電池・V2Hの活用でも解説しています。

設置済みの方も確認したい、停電前の5つの備え

蓄電池の残量設定と停電時の操作、備蓄を確認するイラスト

1.停電用に残す電気の設定を確認する

機種によっては、普段の運転で使い切らないように残量を確保する設定があります。防災用に多く残すほど、日常の自家消費に使える量は少なくなるため、節約と備えのバランスを考えます。[6]

台風接近時などに事前充電を行う機能がある場合も、対応状況、設定、通信条件を確認してください。設定しただけで常に満充電が保証されるわけではないため、必要なときは実際の残量も確認します。

2.自動切り替えと、復電後の動作を確認する

自動切り替えに対応していても、停電時の設定や構成によって動作は異なります。例えばニチコンのESS-T5・T6では、停電時出力を「自動」に設定した場合の自動切り替えが案内されています。[3]

切り替えの際に一時的に電源が切れることもあります。パソコンや録画機器などについては、別途必要な対策を検討しましょう。復電後の確認方法も、同じ取扱説明書で把握しておきます。

3.使えるコンセントと、操作資料を家族で共有する

停電時に使える部屋やコンセント、リモコンの場所、問い合わせ先を、家族が分かる形で残しておきます。取扱説明書は紙や端末への保存など、インターネットが使えなくても見られるようにしておくと役立ちます。

操作確認は施工店の説明やメーカー指定の方法に沿って行い、記事だけを頼りにブレーカーを操作したり、配線を変更したりしないでください。

4.設置場所の浸水リスクを確認する

屋外用の機器でも、水没して使用できるという意味ではありません。設置前にハザードマップや周囲の地形、メーカーの設置条件を確認し、基礎や設置高さ、点検スペースを施工店と検討します。

水没・破損した設備には近づかず、触れたり再起動したりせずに、施工店やメーカーへ連絡してください。太陽光パネルは光が当たると発電するため、停電中や水が引いた後でも感電などの危険が残る場合があります。[7]

5.水・食料・携帯トイレも一緒に備える

蓄電池があっても、水道やトイレが通常どおり使えるとは限りません。大阪府は、救援物資が届くまで1週間程度、自足するつもりで備蓄するよう案内しています。水・食料・携帯トイレなどを、ご家族に合わせて準備しましょう。[8]

電源対策も、懐中電灯やモバイルバッテリーを併用すると、給電対象外の場所や外出先への備えになります。

導入費用は「停電中に何を守れるか」と合わせて比較する

停電対策だけで、投資回収年数を一律に決めることはできません。日常の電気代への効果と、停電中に確保したい機能を分けて整理すると、予算に合うかを判断しやすくなります。

見積もりには、蓄電池本体だけでなく、パワコン、切替機器、基礎、配線、分電盤の工事、搬入、既設機器の撤去など、どこまで含まれているか確認します。保証は機器・容量・施工で対象が異なるため、年数だけで比較しないことも大切です。

スマートフォンの充電や照明など、少数の機器を短時間使うことが目的なら、モバイルバッテリーやポータブル電源で対応できる範囲も確認しましょう。住宅の回路に給電したい場合や、太陽光と連携したい場合は、定置型蓄電池の構成を具体的に検討します。

見積もり相談では、次の情報があると話を進めやすくなります。

  • 停電中に使いたい家電の型番と設置場所
  • それぞれを何時間使いたいか、同時使用したいか
  • 直近1年分の電気使用量と、太陽光の発電・売電実績
  • 既設パネルとパワコンの型番、設置年、保証書
  • 分電盤や設置候補場所の写真、EV購入の予定

補助金を検討する場合は、対象機種や申請時期を確認し、交付が確定していない段階で受給を前提に契約金額を判断しないようにしましょう。補助金の確認ポイントも参考にしてください。

よくある質問

10kWhの蓄電池なら、停電中に1日使えますか?

容量表示だけでは判断できません。停電時に家電へ供給できる電力量、停電開始時の残量、使う家電、使用時間を確認します。冷蔵庫や照明を中心に使う場合と、冷暖房や調理を含める場合では必要量が変わります。

蓄電池があれば、エアコンは使えますか?

給電対象の回路に接続され、電圧や出力などの条件を満たせば使える場合があります。全負荷型という名称だけで判断せず、エアコンの型番と他の家電との同時使用条件を確認してください。

太陽光がなくても、停電対策になりますか?

停電時給電に対応し、残量があれば、ためておいた電気を使えます。ただし、停電が続く間に再充電できる手段がなければ、使える時間は残量に限られます。

蓄電池があれば、避難所へ行かなくてもよいですか?

蓄電池の有無で避難を判断しないでください。自宅の安全、自治体の避難情報、ご家族の状況を優先します。在宅避難が可能な場合でも、水・食料・トイレなどの備えが必要です。

まとめ:使いたい家電と時間から、停電対策を組み立てる

蓄電池選びでは、容量の大きさだけでなく、停電時に使える電力量、出力、給電する回路、残量設定まで確認することが大切です。

まずは「どの家電を、何時間、同時に使いたいか」を整理しましょう。太陽光との連携やご家族の暮らし方まで含めて考えると、必要な機能と予算を絞りやすくなります。

ジェイジェイドリームでは、住まいの状況を踏まえた太陽光・蓄電池の導入相談を承っています。既設設備の型番や使いたい家電をお知らせいただければ、確認すべき条件を整理しながらご相談いただけます。

停電対策・蓄電池について相談する

参考資料

  1. 港区:在宅避難のための備え
  2. 日本電機工業会:蓄電システム性能表示ラベルの比較方法
  3. ニチコン:ESS-T5・T6シリーズ
  4. 太陽光発電協会:停電時でも電気が使えます
  5. 神奈川県:太陽光発電Q&A
  6. ニチコン:9.7kWh単機能蓄電システムQ&A、取扱説明書
  7. 経済産業省:水没した太陽電池発電設備による感電防止について
  8. 大阪府:備蓄品や非常持ち出し品などの準備