「日本の水は安全で、そのまま飲める。」
多くの人がそう信じ、日常的に水道水を利用しています。
しかし今、その“常識”が静かに揺らぎ始めています。
近年注目されている化学物質── PFAS(ピーファス)。
その存在を知ると、私たちが信じてきた「水道水=安心」のイメージは
もはや絶対ではないと気づかされるかもしれません。
■ PFASとは?「永遠に残る」有機フッ素化合物

PFASは、分解されにくく体内や環境中に蓄積しやすい人工化学物質です。
フライパンのテフロン加工・消火剤・撥水剤・紙容器など、
多くの日用品や工業製品に長年使われてきました。
最大の問題は、環境中でも人体でも分解されず残り続けること。
その特性から世界では Forever Chemicals(永遠の化学物質) と呼ばれています。
- 環境省:PFASに関する情報(PFOS・PFOA等の概要・性質)
https://www.env.go.jp/water/pfas.html
■ 実は、日本の水環境でも検出されてきた
環境省の調査では、河川や地下水などの公共用水域で PFOS・PFOA が検出されてきたことが報告されています。
こうした物質は、水質基準の「要監視項目」として位置付けられ、
各地で継続的なモニタリングが行われています。
一部の地域では、過去に暫定的な目標値を超えた事例も報告されています。
つまり、「飲める水」という基準は満たしていても、
そこに “安全性の余白”がないとは言い切れないということです。
PFASは蓄積する・分解されない・種類が多すぎるという性質があり、
「今は基準内だから安全」と言い切るには、まだ不確定要素が多い状況です。

環境省の公共用水域の水質測定結果では50ng/Lを超えたのは4%(37地点)となっておりますが、含有が認められた地点で計算すると、なんと71%(622地点)で含有が認められています。
- 環境省「令和5年度 公共用水域及び地下水の水質測定結果(PFOS・PFOAを含む)」
https://www.env.go.jp/press/press_04658.html - 環境省「令和4年度 公共用水域及び地下水のPFOS及びPFOA調査結果一覧」(地点別データ)
https://www.env.go.jp/content/000212639.pdf - 環境省「PFOS、PFOAの国内の検出状況(公共用水域・地下水の検出状況グラフ付き)」
※図1をグラフ引用推奨
https://www.env.go.jp/content/000242268.pdf
■ PFASの健康リスク

PFOS・PFOAをはじめとするPFASは、
動物実験や疫学研究などから、次のような健康影響の可能性が指摘されています。
- 発がん性の可能性
- ホルモンバランスへの影響
- 妊娠・胎児への影響
- 免疫力低下
- コレステロール値への影響
もちろん、現時点で「この濃度なら必ず危険」と断定されているわけではありません。
しかし、「完全な安全が証明された」とも言い切れないのが実情です。
安全が証明される前に、リスクの兆候だけが先に見え始めている――
PFASは、そんな存在だといえます。
- 環境省「PFOS・PFOAの国内の検出状況/健康影響に関する記述を含む資料」
https://www.env.go.jp/content/000140359.pdf - 環境省「PFOS及びPFOAに関する対応の手引き」(毒性評価・目標値設定の考え方)
https://www.env.go.jp/hourei/add/e073.pdf
■ なぜ今「水道水=絶対安全」と言い切れないのか?

| これまでの常識 | 現実の懸念 |
|---|---|
| 日本の水道水は安全で飲める | PFASなど新たな化学物質の脅威が浮上 |
| 基準値以下なら安心 | 研究が追いついていない物質が多数存在 |
| 浄水場が守ってくれる | PFASは除去が難しいとされるものもある |
私たちの感覚は、過去の安全基準に依存したままです。
しかしPFASは、つい最近まで危険性が十分に認識されていなかった物質でもあります。
今後、研究が進めば進むほど、
新たなリスクが見つかる可能性は十分にあります。
「飲める=安全」とは限らない時代に入った。
それが、いまの日本の水事情と言えるのかもしれません。
- 環境省「PFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議資料」
https://www.env.go.jp/content/000334173.pdf - 国土交通省/環境省「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査の結果について」
https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000603.html
■ PFAS時代の新しい選択肢
― 安全な水を“自分で選べる生活”へ
ここまでご覧いただいた方は、すでに感じているかもしれません。
「水は、選べる時代に入った」
日本の水道水が飲めるという価値は変わりません。
しかし “飲める=安心”とは限らないと知ってしまった今、
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