中小企業経営者の皆さま、こんにちは!今回は、多くの企業が関心を寄せている「事業再構築補助金」について、その概要や申請条件、手順をわかりやすく解説します。これから補助金の申請を検討されている方へ概要や具体例を用いて、申請ができるようにまとめました。
事業再構築補助金の概要
まず、事業再構築補助金とは何かを理解しましょう。
補助金の目的
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業が、新たな事業分野への進出や事業モデルの転換を行う際に必要な経費を支援するための制度です。政府が主導し、経済産業省が管轄しています。
補助金の対象となる経費
補助金の対象となる経費には、以下のようなものがあります:
- 設備投資費用(機械、装置の購入費用)
- 内外装工事費(店舗や工場の改装費用)
- 広告宣伝費(新事業のプロモーション費用)
- 専門家謝金(コンサルティング費用)
事業再構築補助金の対象者
次に、補助金の対象者について見ていきましょう。
対象となる企業の要件
事業再構築補助金の対象となるのは、以下の要件を満たす中小企業および中堅企業です:
- 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、売上が減少した企業
- 事業再構築に向けた具体的な計画を有する企業
具体的な売上減少の基準
具体的には、以下の条件を満たす必要があります:
- 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の売上が2019年または2020年の同じ期間と比較して10%以上減少していること
申請条件
補助金を受け取るためには、いくつかの申請条件を満たす必要があります。
事業計画書の作成
事業計画書には、以下の内容を含める必要があります:
- 事業再構築の目的と背景
- 具体的な事業内容と計画
- 予算と資金計画
- 目標と成果の見込み
専門家の関与
事業計画書の作成には、専門家(中小企業診断士、税理士、弁護士など)の支援を受けることが推奨されています。専門家の関与があることで、計画の精度が高まり、採択率が向上する可能性があります。
その他の必要書類
その他にも、会社の財務諸表や売上減少を証明する資料などが必要となります。これらの書類を揃えることが求められます。
事業再構築補助金の類型と補助金額
事業再構築補助金には『成長枠』『グリーン成長枠』『卒業促進枠』『大規模賃金引上促進枠』『産業構造転換枠』『サプライチェーン強靭化枠』『最低賃金枠』『物価高騰対策・回復再生応援枠』の8つの枠があります。それぞれの違いや補助金額をお伝えします。
成長枠
【概要】
成長分野への大胆な事業再構築に取組む中小企業等を支援
【対象経費】
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
【補助金額】
・従業員数 20 人以下: 100 万円 ~ 2,000 万円
・従業員数 21~50 人: 100 万円 ~ 4,000 万円
・従業員数 51~100 人: 100 万円 ~ 5,000 万円
・従業員数 101 人以上: 100 万円 ~ 7,000 万円
【補助率】
・中小企業者等 1/2 (大規模な賃上げを行う場合は 2/3)
・中堅企業等 1/3 (大規模な賃上げを行う場合は 1/2)
※大規模な賃上げとは、事業終了時点で、事業場内最低賃金+45 円、給与支給総額+6%を達成することを指します。
【補助事業実施期間】
交付決定日~12 か月以内(但し、補助金交付候補者の採択発表日から 14か月後の日まで)
グリーン成長枠
【概要】
研究開発・技術開発または人材育成を実施しながら、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題の解決に取り組む中小企業等の事業再構築を支援
【対象経費】
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
【補助金額】
(エントリー)
(1)中小企業者等
・従業員数 20 人以下:100 万円 ~ 4,000 万円
・従業員数 21~50 人:100 万円 ~ 6,000 万円
・従業員数 51 人以上:100 万円 ~ 8,000 万円
(2)中堅企業等 100 万円 ~ 1 億円
(スタンダード)
(1)中小企業者等 100 万円 ~ 1 億円
(2)中堅企業者等 100 万円 ~ 1.5 億円
【補助率】
・中小企業者等 1/2 (大規模な賃上げを行う場合は 2/3)
・中堅企業等 1/3 (大規模な賃上げを行う場合は 1/2)
【補助対象期間】
交付決定日~14 か月以内(但し、補助金交付候補者の採択発表日から 16か月後の日まで)
卒業促進枠
【概要】
成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せする支援
【対象経費】
成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じる
【補助金額】
成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる
【補助率】
・中小企業者等 1/2
・中堅企業等 1/3
【補助対象期間】
交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで
大規模賃金引上促進枠
【概要】
成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取組む事業者に対する上乗せする支援
【対象経費】
成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じる
【補助金額】
100 万円 ~ 3,000 万円
【補助率】
・中小企業者等 1/2
・中堅企業等 1/3
【補助対象期間】
交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで
産業構造転換枠
【概要】
国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援
【対象経費】
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費
【補助金額】
・従業員数 20 人以下: 100 万円 ~ 2,000 万円
・従業員数 21~50 人: 100 万円 ~ 4,000 万円
・従業員数 51~100 人: 100 万円 ~ 5,000 万円
・従業員数 101 人以上: 100 万円 ~ 7,000 万円
※廃業を伴う場合には、廃業費を最大 2,000 万円上乗せ
【補助率】
・中小企業者等 2/3
・中堅企業等 1/2
【補助対象期間】
交付決定日~12 か月以内(但し、補助金交付候補者の採択発表日から 14か月後の日まで)
サプライチェーン強靭化枠
「サプライチェーン強靱化枠」は、対象経費等が異なるため、別に公募要領がございます。サプライチェーン強靱化枠の内容については、こちらをご確認ください。
最低賃金枠
【概要】
最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援
【対象経費】
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
【補助金額】
・従業員数 5 人以下: 100 万円 ~ 500 万円
・従業員数6~20 人: 100 万円 ~ 1,000 万円
・従業員数 21 人以上: 100 万円 ~ 1,500 万
【補助率】
・中小企業者等 3/4
・中堅企業等 2/3
【補助対象期間】
交付決定日~12 か月以内(但し、補助金交付候補者の採択発表日から 14か月後の日まで)
物価高騰対策・回復再生応援枠
前回の「原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)」と「回復・再生応援枠」が統合されたものです。
【概要】
業況が厳しい事業者や事業再生に取組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を直に受ける中小企業等の事業再構築を支援
【対象経費】
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
【補助金額】
・従業員数 5 人以下: 100 万円 ~ 1,000 万円
・従業員数6~20 人: 100 万円 ~ 1,500 万円
・従業員数 21~50 人: 100 万円 ~ 2,000 万円
・従業員 51 人~: 100 万円 ~ 3,000 万円
【補助率】
・中小企業者等 2/3 (※1)
・中堅企業等 1/2 (※2)
※1 従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の場合は 1,200 万円までは 3/4
※2 従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の場合は1,200 万円までは 2/3
【補助対象期間】
交付決定日~12 か月以内(但し、補助金交付候補者の採択発表日から 14か月後の日まで)
申請の手順
具体的な申請手順についても解説します。
申請準備
まずは、必要な書類を揃え、事業計画書を作成します。この段階では、専門家の支援を受けることをお勧めします。
申請の提出
書類が揃ったら、事業再構築補助金の公式ウェブサイトからオンラインで申請を行います。申請には、電子申請システムを使用します。
審査と結果通知
申請が受理されると、審査が行われます。審査には数か月かかる場合があります。審査結果は、公式ウェブサイトで公表され、採択された場合はメールで通知されます。
具体例-CASE STUDY-
実際に事業再構築補助金を活用して成功した企業の事例を紹介します。あくまで一例ですので同じことをすれば必ず採択されるというものではありません。
飲食店の事例
東京都内で10年以上営業していたイタリアンレストランは、新型コロナウイルスの影響で客足が大幅に減少しました。通常の営業では売上が回復しないと判断したオーナーは、事業再構築補助金を活用して新たなビジネスモデルに挑戦することを決意しました。
取り組み内容
- 新事業:テイクアウト専門店の開業
- 店舗の一角を改装し、テイクアウト専用カウンターを設置。
- オンライン注文システムを導入し、ウェブサイトでの注文を開始。
- メニューの見直しを行い、テイクアウトに適した料理を開発。
結果
この取り組みにより、従来の顧客層に加えて新たな顧客層を獲得することに成功しました。特にランチタイムには近隣オフィスの社員からの注文が増え、売上が大幅に回復しました。さらに、オンライン注文の利便性が評価され、リピーターも増加しました。
製造業の事例
愛知県にある自動車部品製造会社は、コロナ禍で大手自動車メーカーからの注文が減少し、経営が厳しい状況に直面しました。そこで、事業再構築補助金を活用して新しい事業分野に挑戦することにしました。
取り組み内容
- 新事業:医療機器部品の製造
- 医療機器メーカーとの連携を開始し、部品製造のための設備投資を実施。
- 医療機器製造のための品質管理システムを導入し、社内研修を行って技術力を向上。
- 新規市場開拓のためのマーケティング活動を展開。
結果
この取り組みにより、新たに医療機器部品の製造ラインを確立し、安定した受注を獲得することができました。これにより、自動車部品製造に依存しない多角的な事業構造を築くことができ、経営の安定化が図られました。
小売業の事例
大阪市内でアパレルショップを経営するは、コロナ禍で実店舗への来店客数が激減しました。そこで、事業再構築補助金を活用して新たな販売チャネルを開拓することにしました。
取り組み内容
- 新事業:オンラインショップの開設
- オンラインショップを開設し、ウェブサイトを通じて全国に販売を開始。
- ソーシャルメディアを活用したマーケティングを強化し、ブランドの認知度を向上。
- 実店舗とオンラインショップの連携を強化し、在庫管理システムを導入。
結果
オンラインショップの開設により、全国から注文が入るようになり、売上が回復しました。また、実店舗ではオンラインショップとの連携により、来店客に対してオンライン限定商品の案内を行うなど、クロスプロモーションが実現しました。結果的に、店舗売上も徐々に回復し始めました。
まとめ
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業にとって、事業の再構築を支援する強力なツールです。申請のハードルは高いかもしれませんが、専門家の支援を受けることで、成功の可能性が大いに高まります。弊社ジェイジェイドリームでもこの補助金をうけ新たな事業に取り組んでいる途中です。この記事を参考に、ご相談やご質問がありましたら、ジェイジェイドリームまでご連絡ください。ぜひチャレンジしてみてください。